親指がボロボロ

気がつけば親指はきれいに治りました。

昼の公園でお爺さんに話しかけられて人生について考えてしまった話。

お昼休みに会社近くの公園のベンチに座っていたら知らないお爺さんに「最近何か変わったことありますか?」と話しかけられた。お爺さんはマスクをしていて、さらに鼻にティッシュを突っ込んでいた。時期的に花粉症だとは思うが見るからに怪しい。しかもいきなり知らない人に、そして見るからに怪しい人にそんな切り口で話しかけられたら警戒してしまう。だからといって無碍な態度を取るのも大人の対応として良くない。警戒しつつも笑顔で「特に無いですね~」と答えた。

するとそのお爺さんは「私はこういうものなんだけどね」と言いながら古びた何かを見せてきた。それはパスケースの成れの果てのようなものに入れられた名刺だった。名刺にはどこかの大学の名誉教授という肩書きが書かれていた。なんだこのお爺さんはと思いながらも引きつった笑顔で「名誉教授なんですね。すごいですね」と返した。おじいさんは少し嬉しそうな表情をした。そして「あなたは学生?それともどこかにお勤め?」と聞いてきた。心の中では「学生に見えるなんてうれしいな!・・・・・・いやまて。冷静に考えろ。これはお世辞だ!」と思いながら「会社務めです。今は休憩中です」と返した。おじいさんは「そうかそうか」というような反応をした後「私は大学に入ってその後も~」というような自分がどれだけ頑張ってきたかを話し始めた。経歴的に医師免許を持っていることは分かったが細かいところは忘れてしまった。

お爺さんの自慢話が終わった後「私は結構頑張ってきたから、君たちみたいなのは可愛く見えるよ」と締めくくった。もしかしたら「私は本当に苦労してきたから君たちなんて何も苦労してないように見えるよ」のような事を言いたかったのだろうか。返す言葉が思いつかなかったので引きつった笑顔で「はあ」とだけ返した。お爺さんは満足したような少し寂しそうな表情をして「邪魔したね」と言いながら去っていった。一体何だったんだと思いながらお爺さんの後ろ姿を見送った。話しているときには気づかなかったのだが、お爺さんは持ち運び用の酸素供給装置を手で引いていた。最近亡くなった祖母も同じようなものを使っていたのですぐにわかった。歩き方もかなり辛そうでこのお爺さんはあまり長くないんだろうな。というのがなんとなくわかった。いきなりマウントを取ってきてなんだこのお爺さんは。と最初は思ったがきっと奥さんももう先立ってしまっていて身近に話せる人がいなくて寂しさから話しかけてきたのだろう。そう思うとなんとも言えない気分になった。名誉教授の名刺を見せてきたのも話しかけた人の気を引くためのお爺さんなりのアイディアだったのだろう。いくら若い頃頑張ってもこんな寂しい老後になってしまうなんてお爺さんの心境を思うと悲しくなってきた。

間違いなく自分は今後名誉教授になることは無いだろう。だがこのままだと将来公園で話しかけてきたお爺さんと似たような状況になってしまう可能性は相当高い。自分の人生が終わりかける頃自分はどんな生活をしているのか。色々考えてしまう月曜日の昼休みだった。

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