ちょっとずつ読み進めて、やっと読了しました。それでも終盤は続きが気になって一気に読んでしまいました。読了感がすばらしい作品でした。まるでとても長い旅行から帰ってきた後のような感覚です。小説を読み終えてこんな感覚になったのは筒井康隆さんの旅のラゴス以来です。
旅のラゴスも、今回読み終えたヘブンメイカーもいわゆる異世界小説です。ヘブンメイカーに至っては現実世界の登場人物が異世界に飛ばされてしまっています。全員ではありません特別な力を得ているというおまけ付きです。
最近異世界モノが流行っていますが個人的にあまり好きではありません。しかしこの作品は別でした。異世界に飛ばされて特別な力を得ているとはいえその力は万能ではなく、力を使ってしまったがゆえに失敗をしてしまったりこの異世界で生きる意味に悩まされたり。特別でもない人間が飛ばされてしまったがゆえの葛藤が感情移入させてくれました。
そして違う場面で進んでいく物語が終盤でつながり、そして大きなどんでん返しでもう終盤はページをめくる手が止まりませんでした。怒涛の終盤、そしてエピローグ。緩急の付け方は最高の一言です。
やはり恒川光太郎さんの作品は最高ですね。新作が楽しみです・・・。